iDeCoの給付の受け方で損得の比較(退職金とiDeCoの給付を受ける時期を5年以上あける?)

iDeCoは加入者が毎月一定の金額を積み立て(掛金を拠出するといいます)、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託といった金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。

iDeCoは払うときに節税効果があり受け取るときに税金が掛かる仕組みです。

また、かけているときに得られる利息運用益税金がかかりません。

 

前に、60歳でiDeCoの給付金と退職金を同時に一括で受け取るシミュレーション記事を書きました。

iDeCo60歳で退職金と同時期に一括で給付を受けると税金はどうなる?
iDeCoは加入者が毎月一定の金額を積み立て(掛金...

そのシミュレーションでは、iDeCoの給付金と退職金の合計が退職所得控除額を超えてしまったので、その控除額を超える分に対して、税金を払うことになってしまいました。

iDeCoは払うときには節税できますが、受け取るときに税金がかかります。

でも、なるべく税金がかからないようにしたいです!

調べていくうちに、iDeCoの給付後、5年あけて退職金を受け取れば、退職所得控除をフルに使えるようになることが分かりました!!

この記事では、退職を60歳でなく、65歳に遅らせて同じ退職金を受け取ったと仮定してシミュレーションしてみます。

iDeCoから受け取る(給付を受ける)ところ以外は同じなので、そこを知りたい方はこちらの記事をどうぞ↓
https://newgoodthing.com/simulation-2-950/

60歳でiDeCoの給付を受け、65歳で退職金を受け取るときにかかる税金は?

一括で一時金として受け取る給付金は「退職所得」として、取り扱われます。

 

例えば、諸条件を仮に以下のようにして、試算してみます。

iDeCoの給付金:60歳で受け取り(一括)。拠出年数10年。276万円勤めていた退職金:65歳で受け取り。勤続43年。2,000万円
iDeCoの受給から5年以上たって、退職金を受け取るケースでは、退職所得控除がそれぞれ(iDeCoの受給に対して、と、退職金に対して)で退職所得控除をフル活用できます。
まず、iDeCoの方から見ていきます。
退職金の計算方法:国税庁ホームページより

60歳でiDeCoの給付を受けるときにかかる税金と手数料

iDeCoをかけた年数:10年
iDeCoの給付金:276万円
① iDeCoに対する退職所得控除額は?
iDeCoの退職所得控除額を計算する時、iDeCoの加入期間を「勤続年数」にあてはめて、計算します。
この事例ではiDeCoの加入期間は10年なので、
退職所得控除額は=40万円✕10=400万円になります。
勤続年数=iDeCo加入期間(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円✕(Aー20年)
②iDeCo一括給付金に対する課税退職所得金額は?
課税退職所得金額=((退職金)退職所得控除額)✕1/2
=(276万円)-400万円)✕1/2
=−62万円
マイナスになるので、課税所得金額は0円です。
③iDeCo一括給付金に対する所得税および復興特別所得税は?
課税所得金額が0円なので・・・
所得税額0円
復興特別所得税0円
A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

引用:国税庁「退職金と税」

④iDeCo一括給付金に対する地方税は?

 

下の表では、税率を「都民税」「区民税」と書いていますが、全国どこも同じです。
「県民税」「市民税」などと、お住いの地域に合わせてお考えください。
地方税=退職所得✕地方税率10%
=(退職金ー退職所得控除額)✕10%
=(276万ー400万)=(ー124万円)✕10%退職所得がマイナスなので、地方税も0円
⑤iDeCo一括給付のときの「給付金事務手数料」は?

給付を受けるたびにかかる事務手数料は、一括給付だと1回なので、

400円+消費税=440円です。

iDeCoの給付金を一時金(一括)で受け取ったとき税金や手数料:計算結果

=0円+0円+440円=440円となります。

 

65歳で会社からの退職金を受け取るときにかかる税金

今度は、iDeCoの一括給付から5年あけて、退職金を受け取ったときの税金について、考えてみます。
5年以上経っていると、退職所得控除はフルにつかえるようになっています。
①退職所得控除額は?
勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円✕(Aー20年)
勤続年数、43年だから・・・
退職所得控除額=800万円+70万円✕(勤続年数−20年)
       =800
万円+70万円✕(43−20年)
=2,410万円
会社からの退職金が2,410万円までは税金がかかりません。


②課税退職所得金額は?
課税退職所得金額=((退職金)退職所得控除額)✕1/2
=(2,000万円)-2,410万円)✕1/2
=−205円
マイナスになってしまったので、課税所得金額は0円です。
③所得税および復興特別所得税は?
下の表に当てはめていくと・・・
所得税額=0
復興特別所得税=0円
A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

引用:国税庁「退職金と税」

④退職金にかかる地方税は?

 

下の表では、税率を「都民税」「区民税」と書いていますが、全国どこも同じです。
「県民税」「市民税」などと、お住いの地域に合わせてお考えください。
地方税=支払い金額ー退職所得控除額
   =2,000万円ー2,410万円
=ー410万円
(こちらもマイナスになってしまったので、地方税=0円です。)
地方税

区分

退職所得の金額

税率

勤続年数5年以下の役員等 支払金額―退職所得控除額 区民税6% 都民税4%
上記以外 (支払金額―退職所得控除額)×2分の1 区民税6% 都民税4%

引用:国税庁

退職金にかかる税金は?(iDeCo受給から5年以上あけた時)

③+④=0円+0円

まとめ (iDeCo給付を60歳で受け取って、退職金を受け取った時)と(iDeCo給付と退職金を同時に60歳で受け取った時)の比較

同時に受け取った時 5年以上あけた時
拠出している間の節税額 +414,000円 +414,000円
拠出している間の手数料 −11,799円 −11,799円
運用益、利息に対する税金 0円 0円
給付を受けるときの所得税および復興特別所得税 −55,134円 0円
給付を受けるときの地方税 −118,000円 0円
給付金事務手数料 -440円 −440円
拠出から給付までのトータルの損得 228,627円の得 401,761円の得
差額は? 5年以上あけたほうが173,134円の得

この表を見てお分かりのとおり、60歳でiDeCoの給付を受けて、同時期に退職金を受け取った時、228,627円のお得でしたが、退職金の受け取りを5年以上あけたときは、401,761円のお得となります。

同時に受け取ったときのシミュレーションした記事はこちらです。

iDeCo60歳で退職金と同時期に一括で給付を受けると税金はどうなる?
iDeCoは加入者が毎月一定の金額を積み立て(掛金...

この事例で言えば、できることなら、60歳で退職しないで、65歳以上で退職するほうが、173,134円お得であるという計算結果になりました 🙂

金銭面だけで考えると、65歳以上で退職するとお得ですね!

退職時期を選べる職場の方は、退職時期を決めるときに、退職所得控除がフルで使えるかどうかも考慮に入れてみられたらいいと思います。

 

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